Business Technology04

Updated 2026.09.03

Field Note

AI が作った画面は、なぜ「それっぽいだけ」になるのか

生成 AI に画面を作らせると、破綻はしていないのに、どのページも同じ顔になります。ピース・ビズが自社サイトの情報ページを作り直したときに突き止めた原因と、直すために変えた指示の出し方を整理します。

先に要点

当社の場合、原因は AI の描画能力ではなく、指示が「見た目」に対して出されていて「構造」に対して出されていなかったことでした。性質の違う九種類の内容が、一つのカード用の指定と一つの余白の値で表示されていたため、全部が同じ顔になっていました。直し方は、意味の違う要素に違う面を割り当てることです。

  • 同じ指定を全体に適用すると、内容が違っても見た目が同じになる
  • 「きれいに」ではなく「この要素とこの要素は別の面に置く」と指示する
  • 見た目の受入条件を、作らせる前に書いておく

生成 AI に限った話ではありません。同じ症状は、共通部品を作りすぎた人手の実装でも起こります。

出てくるものが均質になるのは、指示の粒度の問題

「きれいにして」と頼むと、平均的にきれいなものが返ってきます。

当社のサイトの情報ページには、文章、要点の一覧、比較、手順、確認項目、用語、図など、性質の違う九種類の内容が並びます。作り直す前は、この九種類がすべて同じ白いカードの中に置かれ、上下の余白も同じ値で並んでいました。

個々の画面としては破綻していません。整っていて、読めます。それでも、上から下まで同じ形が続くため、どこが重要でどこが補足なのかが画面から伝わらない状態でした。読み手にとっては、全部が同じ強さで並んでいるように見えます。

原因をたどると、指示が「カードで整えて」「余白を揃えて」という見た目に対して出ていて、「この内容とこの内容は性質が違うので、別の見え方にする」という構造に対しては出ていませんでした。均質な指示からは、均質なものしか出てきません。

指示の書き方で、出てくるものがどう変わるか

当社が実際に書き換えた前後です。どちらも間違ってはいませんが、返ってくるものが変わりました。

見た目に対する指示

  • 「きれいに整えてください」
  • 「余白を揃えてください」
  • 「カードで表示してください」
  • 結果:全部が同じ形で整う

構造に対する指示

  • 「文章は面を持たない。確認項目は枠を持つ」
  • 「比較と注意は帯にする。図と表は全幅にする」
  • 「同じ形が三つ続いたら、そこは設計が足りていない」
  • 結果:内容の違いが画面に出る

どちらでも解決しない

  • 何を伝えたいのかが決まっていない
  • 内容の重要度に順番がついていない
  • 出てきたものを見て判断できる人がいない
  • 直す時間が確保されていない

実際に変えたこと

当社のサイトで行った変更です。見た目の調整ではなく、内容の性質に対応させる作業でした。

  1. 内容の種類ごとに、置く面を変えた

    本文は面を持たず、そのまま紙の上に置きます。確認項目は記入する対象なので枠を持ちます。比較と注意書きは帯にします。図と表は左右いっぱいまで広げます。同じ指定を全部に当てるのをやめました。

  2. 上下の余白を一つの値にするのをやめた

    すべての区切りが同じ間隔だと、どこで話題が変わったのかが分かりません。区切りの重さに応じて数段階の間隔を用意し、区間ごとに選ぶようにしました。

  3. 見出しの表現を、番号と罫線に変えた

    見出しを大きくするのではなく、番号を振った罫線から見出しをぶら下げる形にしました。文字を大きくしなくても、順番と階層が読めるようになります。

  4. 同じ形が続く箇所を数えた

    画面を上から見て、同じ形が三つ以上続く箇所を数えました。続いているところは、内容の性質を分けきれていない箇所です。設計の抜けを探す目印として使えます。

当社のサイトでは、九種類の異なる内容が一つのカード指定で表示されていた

作らせる前に決めていること

当社が画面の作業を任せる前に書いている項目です。これを書かずに任せると、平均的なものが返ってきます。

  1. Step 01

    内容の種類を数える

    そのページに何種類の性質の違う内容が入るかを数えます。数えないまま作ると、全部が同じ扱いになります。

  2. Step 02

    種類ごとの見え方を決める

    どの種類がどの面に載るかを、作らせる前に決めます。ここは判断であって、生成に任せる部分ではないと考えています。

  3. Step 03

    禁止事項を書く

    「同じ形を四つ以上続けない」「全部を枠に入れない」のように、避けたい状態を先に書きます。目標より禁止のほうが判定しやすいためです。

  4. Step 04

    静止した状態で成立するか確認する

    動きを止めた状態で画面を見ます。動きに頼って成立している画面は、動きを減らす設定の利用者にとっては成立していません。

生成された画面を見るときに確認していること

当社が受け入れ前に見ている項目です。細部の美しさより先に見ます。

構造の確認

  • 同じ形が三つ以上続いていないか
  • 内容の種類ごとに見え方が変わっているか
  • 一番伝えたい要素が、画面上で一番強いか
  • 区切りの間隔が全部同じになっていないか
  • 見出しだけを追って内容の流れが分かるか

成立の確認

  • 動きを止めても内容が読めるか
  • 狭い画面で横にはみ出していないか
  • 文字と背景の明度差が足りているか
  • 画像がなくても意味が通るか
  • キーボードだけで操作できるか

細部の調整は後から効きます。構造が均質なまま細部を磨いても、均質さは消えません。

きれいに見えることと、読めることは別

きれいに見えることと、読めることは別

整った画面は、必ずしも読める画面ではありません。当社が作り直しの判断に使ったのは「整っているか」ではなく、「上から下まで見たときに、重要度の違いが画面から分かるか」でした。この基準は生成 AI を使うかどうかとは無関係に成り立ちます。共通部品を作りすぎた人手の実装でも、同じ症状が出ます。

Field Note

この記事について

実際の業務・運用で得た経験をもとに整理した記事です。

First-hand experience

ピース・ビズが自社コーポレートサイトの情報ページを、生成 AI を使って設計し直した際の経験にもとづいて書いています。対象はピース・ビズ単体の自社サイトです。デザインの一般論ではなく、当社で実際に起きた症状と対処を扱います。

Published
2026.09.03
Updated
2026.09.03
Published by
Peace Biz

FAQ

このテーマでよくいただく質問

専門の担当がいるほうが早いのは確かです。ただし当社が実際に効果を得たのは、装飾の巧拙ではなく「内容の種類を数えて、種類ごとに見え方を分ける」という整理でした。この作業は、内容を理解している人であれば進められる範囲だと考えています。

細かく書く対象は、装飾ではなく構造です。どの内容がどの面に載るかを決めるのは判断であり、当社では人が行っています。そのうえで、決めた構造に沿って画面を組み立てる作業は速くなりました。判断を任せると均質になり、作業を任せると速くなる、という分かれ方でした。

特有ではありません。共通部品を作りすぎた人手の実装でも同じことが起きます。ただし生成 AI を使うと、平均的な形をすばやく大量に適用できるため、症状が出るのが早く、範囲も広くなりやすいと当社では感じています。

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