Business Technology07

Updated 2026.09.03

Field Note

コーポレートサイトを外注から内製へ切り替えて、何が変わったか

ピース・ビズは 2026 年 2 月に、旧サイトから現在の内製コーポレートサイトへ切り替えました。切り替えて分かったことと、内製が向く場合・向かない場合を整理します。

外注では更新が何度も往復し、内製では編集から公開まで一方向に届くことを示す図版。

先に要点

ピース・ビズで最初に変わったのは費用ではなく、更新までの時間と、改善の判断を自社で下せるかどうかでした。一方で、品質と保守の責任もそのまま自社に移ります。作って終わりにできない体制があるかどうかが向き不向きを分ける、と考えています。

  • 「直したい」と思ってから公開されるまでの時間が、依頼の往復ではなく自社の作業時間になった
  • アクセス解析や検索の状況を見て、そのまま直すところまでが一続きの作業になった
  • 品質・セキュリティ・保守の責任は外注先ではなく自社に残る

内製にしても、伝えたいことが決まっていない・更新する人がいないという問題は解決しませんでした。

内製化は、コスト削減の話ではない

外注をやめれば安くなる、という見立てだけで内製に踏み切ると、期待とずれます。

外注費はなくなりますが、代わりに自社の時間が必要になります。ページを直す時間、確認する時間、公開する仕組みを保つ時間です。合計してどちらが安いかは、更新の頻度と自社に使える時間によって変わります。

ピース・ビズが内製へ切り替えたときに実際に大きかったのは、金額よりも「直したいと思ったときに直せる」ことでした。文言のひとつを変えるために見積と日程の調整が必要な状態と、その日のうちに変えられる状態とでは、サイトに対する向き合い方そのものが変わりました。

逆に言えば、更新のきっかけが年に数回しかない場合、この差は利点になりにくいと考えています。内製化の判断は、費用の比較ではなく「どれくらいの頻度でサイトを触りたいか」から始めるほうが実態に合う、というのがこの移行から得た見方です。

外注と内製で、何が入れ替わるか

どちらが優れているかではなく、何を外に置き、何を自社に持つかの違いです。ピース・ビズが移行を判断したときに使った整理です。

外注が強いところ

  • 作る工程をまとめて任せられる
  • 自社に技術者がいなくても成立する
  • デザインや実装の品質を、依頼先の基準で担保できる
  • 担当者が辞めても仕組みが止まりにくい

内製が強いところ

  • 修正から公開までが自社の作業時間だけで完結する
  • 見て、直して、また見るという改善の周回が短い
  • 表現や情報の優先順位を自社の判断で決められる
  • 小さな修正をためらわずに出せる

どちらでも解決しないこと

  • 誰が何を書くかが決まっていない
  • 更新する時間が業務の中に確保されていない
  • サイトに何をさせたいのかが言語化されていない
  • 公開してよい情報の基準が決まっていない

更新が公開に届くまでの経路

入れ替わるものを工程として並べると、差が出る場所がはっきりします。工程の数はほとんど変わりません。

外注時と内製時で、更新が公開に届くまでの経路外注では、依頼、見積、制作、確認、公開の各段階の間で差し戻しが発生し、そのたびに待ち時間が生まれます。内製では、編集、commit、自動ビルド、公開が一方向に進み、差し戻しの相手が社内にいます。変わるのは工程の数ではなく、決定を待つ回数です。外注依頼見積制作確認公開差し戻しのたびに、相手の作業待ちが入る内製編集commit自動ビルド公開直すかどうかを決める人が、この位置にいる
変わるのは、公開までに他社の作業時間が何回入るか、そして直すかどうかを決める人がどこにいるかです。

図は横にスクロールできます。

当社では、内製化の効果は費用よりも更新速度と改善の自由度に出た

内製にして、実際に変わったこと

ピース・ビズの自社サイトで、移行の前後で明確に変わった点です。

  1. 更新までの時間が、往復ではなく作業時間になった

    以前は文言や画像の差し替えにも依頼と確認の往復が必要でした。内製後は、直す判断をしてから公開するまでが自社の作業だけで終わります。結果として、後回しにしていた小さな修正が実際に出るようになりました。

  2. 観測と修正が一続きの作業になった

    アクセス解析や検索の状況を見て気づいたことを、そのまま同じ日に反映できます。以前は「気づいたこと」と「直すこと」が別の工程に分かれていて、気づいたまま止まることがありました。

  3. 情報の優先順位を自社で決められるようになった

    どのページを厚くするか、どの導線を残すかを、依頼の単位ではなく方針として決められます。ページ単位の発注では判断しにくかった、サイト全体の構成の見直しがしやすくなりました。

  4. 品質を保つ作業が、自社の仕事として現れた

    表示崩れ、リンク切れ、モバイル表示、検索まわりの設定。以前は依頼先が見ていた部分が、そのまま自社の確認事項になりました。これは利点ではなく、引き受けた責任です。

切り替えるときに、先に決めたこと

ピース・ビズが作り始める前に決めた項目です。あとから変えると直す範囲が大きくなります。

  1. Step 01

    何を情報の原本にするか

    掲載する会社情報・サービス内容・お知らせについて、どこに書いてあるものを正とするかを先に決めました。ここが曖昧なままだと、同じ情報がページごとに少しずつ違う状態になりやすくなります。

  2. Step 02

    公開の仕組みをどう保つか

    誰がどうやって公開するのか、公開前に何を確認するのかを決めました。手順が人の記憶の中にしかない状態にしないことが、担当が変わったときに効くと考えています。

  3. Step 03

    品質のどこを機械に見せるか

    リンク切れ、ページの重さ、検索まわりの設定など、人が毎回見るには細かすぎる項目は、公開前に自動で確認できる形にしました。人の注意力に頼る範囲を減らすほど、更新の心理的な負担が下がっています。

  4. Step 04

    誰が保守を担当するか

    内製にすると、平常時の更新だけでなく、不具合が起きたときの対応も自社の仕事になります。担当と、その人が不在のときの連絡先を決めておきました。

内製が向く会社と、向かない会社

どちらが良いかではなく、いまの体制でどちらが回るかで判断します。ピース・ビズが移行のときに使った判断軸です。

内製の利点が出やすい

  • サイトを月に数回以上は触りたい
  • 書く内容を決められる人が社内にいる
  • アクセス解析や検索の状況を見て改善したい
  • 小さな修正を早く出したい場面が多い
  • 更新作業に時間を割ける担当を決められる

外注のほうが噛み合いやすい

  • 更新のきっかけが年に数回しかない
  • サイトで伝えたいことがまだ固まっていない
  • 不具合対応を自社で引き受ける体制がない
  • 担当が一人で、離れたときに引き継げない
  • デザインや実装の基準を自社で持てない

全部を内製にする必要はありません。日常の更新は内製、大きな作り直しは外注、という分け方も成立します。

内製化しても解決しない問題

内製化しても解決しない問題

「更新されないサイト」の原因が、依頼のしにくさではなく、書く内容が決まっていないことにある場合、内製への切り替えだけでは状況は変わりません。移行の前に、誰が何を書くのかを決めておくほうが効果があると考えています。

この記事で使っている言葉

内製
サイトの制作と更新、公開までを自社の担当者で行う体制のこと。ここではツールや外部サービスを一切使わないという意味ではありません。
継続運用
公開したあとも、内容の更新・不具合対応・表示や検索まわりの確認を続けること。内製化で自社に移るのは主にこの部分です。
観測
アクセス解析や検索の状況など、公開後の実際の使われ方を数字で見ること。見たあとに直すところまでを一続きにできたことが、ピース・ビズでは効きました。
Field Note

この記事について

実際の業務・運用で得た経験をもとに整理した記事です。

First-hand experience

ピース・ビズが 2026 年 2 月に旧コーポレートサイトから現在の内製サイトへ切り替え、その後も自社で運用を続けている経験にもとづいて書いています。対象はピース・ビズ単体の自社サイト運用です。

Published
2026.09.03
Updated
2026.09.03
Published by
Peace Biz

FAQ

このテーマでよくいただく質問

外注費はなくなりますが、自社の作業時間が必要になります。更新頻度が低い場合は合計で安くならないこともあります。金額よりも、更新の速度と改善の自由度をどれくらい必要としているかで判断するほうが実態に合う、と考えています。

更新の範囲によります。文章や画像の差し替えが中心であれば、体制を整えれば回せる範囲だと考えています。一方で、不具合が起きたときに原因を切り分けて直せる人がいない状態では、内製に切り替えたあとに止まるおそれがあります。

ありません。日常の更新は内製で、サイト全体の作り直しやデザインの大きな変更は外部に依頼する、という分け方もできます。分ける場合は、どこまでを自社で触ってよいかを先に決めておくと運用が安定します。

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