Business Technology08

Updated 2026.09.03

Field Note

専門の開発者でなくても、Web サイトを運用できるか

ページを作るところまでは、道具が進んだぶん確実に楽になりました。難しいのはその先の運用です。ピース・ビズが、開発を専門にしていない担当者でも更新を進められる状態にするために何を用意したかを整理します。

公開までに通る関門を、閉じた面と開いた面の連なりとして描いた図版。

先に要点

当社では、担当者に仕組みを完全に理解してもらう方向ではなく、理解していなくても壊れにくい経路を用意する方向で進めました。公開前に自動で落とす検証、本番へ出す前に実物を見られるプレビュー、そして生成物のずれを検知して止める仕組みの三つです。そのうえで、公開してよいかの判断は人に残しています。

  • 教育で守るのではなく、壊れる操作が起きにくい経路で守る
  • 本番へ出る前に、必ず実物を見られる状態を用意する
  • 公開してよいかの判断だけは、仕組みに任せない

この体制でも、書く内容が決まっていない・更新する時間が確保されていない、という問題は解決しませんでした。

難しいのは、作ることではなくその先

ページを一枚作ることと、そのページを保ち続けることは、別の作業です。

生成 AI を使えば、ページの形を作るところまでは短時間で進みます。当社でもそれは実感しています。運用で難しかったのは、その先にある「作ったものを本番に反映し、壊れていないことを確認し、次の更新でも同じことを繰り返す」という部分でした。

最初は手順書を整える方向を考えました。しかし手順書は、書いた時点の状態にしか対応しません。手順が増えるほど読まれなくなり、読まれない手順書は無いのと同じです。そこで方針を変え、手順を覚えなくても壊れにくい経路を作ることにしました。

具体的には、間違いを公開前に落とす自動検証、本番へ出す前に実物を見られるプレビュー、そして内容から自動生成されるファイルがずれていたら止める仕組みの三つです。いずれも「担当者が気をつける」ことを前提にしていません。

更新が本番に届くまでに通る場所

当社の更新が通る経路です。担当者が意識しているのは、左端の編集と、右から二番目のプレビュー確認だけで済むようにしています。

検証を置く場所と、そこで確認すること速く終わる検証は手元に置き、環境差を排除する検証は共有の自動ビルドに置きます。実際の画面は公開前のプレビューで確認し、本番へは公開の記録と戻せる状態を伴って進みます。Local手元型の整合掲載内容の決まり生成物が最新かCI共有の自動ビルド指定した環境で通るか生成物の差分がないかPreview公開前プレビュー実際の画面を見る幅を変えて確認するLive本番公開の記録が残る戻せる状態にある速い検証ほど手元に近く、環境差を排除する検証ほど公開に近い
検証は自動で通ります。担当者に残っているのは「この内容を公開してよいか」という判断です。

図は横にスクロールできます。

担当者に「覚えてもらわない」ようにしたこと

当社が仕組み側に寄せた項目です。覚えることを減らすほど、更新の心理的な負担が下がりました。

  1. リンク切れと必須項目の抜けは、公開前に自動で落とす

    掲載内容に必要な項目が埋まっているか、リンク先が実在するか、題名や説明文が重複していないかを機械が検査します。担当者が一覧を目で追う必要はありません。

  2. 本番に出る前に、必ず実物が見られる

    変更を上げると、本番とは別の場所に同じものが公開されます。担当者は、そこで実際の画面を見てから公開の判断をします。想像で確認する工程をなくしました。

  3. 自動生成されるファイルのずれを、公開の直前で止める

    サイトの一覧や参照用のファイルは、掲載内容から自動生成されます。生成し直した結果と記録が食い違っていれば、その時点で公開を止めます。「生成し忘れ」を人が覚えておく必要がなくなりました。

  4. 知らない URL は、そのまま「見つかりません」として返す

    存在しない URL にアクセスされたとき、無理に何かを表示せず、見つからないことをそのまま返す構成にしています。担当者がページを移動・削除したときに、中途半端な状態が残りにくくなります。

当社では、手順の暗記ではなく壊れにくい経路の用意を優先した

任せられる状態にするまでに決めたこと

仕組みを作る前に決めた項目です。順番を逆にすると、あとから作り直すことになります。

  1. Step 01

    触ってよい範囲を決める

    どこまでを担当者が変更してよいのかを先に決めました。文章と画像の差し替えは担当者、構造や公開の仕組みに関わる部分は別、という切り分けです。範囲が決まると、必要な確認の内容も決まります。

  2. Step 02

    公開の判断を誰が行うか決める

    検証が通ったからといって自動で公開されるのではなく、公開してよいかを人が判断する場所を残しました。内容の妥当性は機械には判断できないためです。

  3. Step 03

    書き方の基準を文書にする

    何を書いてよく、何を書かないのかを文書にしました。表現の統一より、公開してよい情報かどうかの基準を優先しています。判断に迷ったときに戻れる場所を作るためです。

  4. Step 04

    戻し方を先に確認する

    公開したあとに問題が見つかったとき、どう戻すのかを先に確認しました。戻し方が分かっていると、更新の判断が速くなります。

人の注意力に任せることと、仕組みに任せること

当社が分けている基準です。判定が一つに決まるものは、なるべく仕組みへ寄せています。

仕組みに任せる

  • 必須項目が埋まっているか
  • リンク先が実在するか
  • 題名や説明文が重複していないか
  • 自動生成されるファイルが最新か
  • 公開の記録が残ること

人が判断する

  • この内容を公開してよいか
  • 書いてある事実が正しいか
  • 読み手にとって分かりやすいか
  • いま出すべきタイミングか

仕組みでも人でも解決しない

  • 何を書くかが決まっていない
  • 更新する時間が業務に確保されていない
  • 担当が一人で、不在時に止まる
  • サイトに何をさせたいのかが言語化されていない

任せる前に用意しておくこと

当社が実際に用意した項目です。仕組みだけでは足りず、決めごとが必要でした。

仕組みとして

  • 公開前に自動で検査が通ること
  • 本番へ出す前に実物を見られること
  • 公開してよいかを人が判断する場所があること
  • 問題があったときに戻せること
  • 公開の記録が残ること

決めごととして

  • 担当者が触ってよい範囲
  • 公開してよい情報の基準
  • 判断に迷ったときの相談先
  • 担当者が不在のときの代替
  • 更新に使える時間の確保

仕組みが整っていても、更新に使える時間が業務の中に確保されていなければ更新は止まります。ここは仕組みでは解決できませんでした。

生成 AI は入口にはなるが、責任は引き受けない

生成 AI は入口にはなるが、責任は引き受けない

担当者が操作する入口として生成 AI を使うと、覚えることは確かに減ります。ただし、公開された内容の責任は自社に残ります。当社では、生成 AI を「操作を助けるもの」として位置づけ、公開してよいかを判断する工程は必ず人が通る形にしています。ここを自動化すると、間違いが見つかるのが公開後になります。

Field Note

この記事について

実際の業務・運用で得た経験をもとに整理した記事です。

First-hand experience

ピース・ビズが自社コーポレートサイトの運用を、開発を専門としない担当者でも進められる状態にするために整えてきた経験にもとづいて書いています。対象はピース・ビズ単体の自社サイト運用です。特定の担当者や社員個人についての内容は含みません。

Published
2026.09.03
Updated
2026.09.03
Published by
Peace Biz

FAQ

このテーマでよくいただく質問

理解しているに越したことはありません。当社が優先したのは、理解の度合いによって結果が変わらない状態を作ることです。理解が前提の運用は、担当が変わったときに引き継げません。まず壊れにくい経路を用意し、そのうえで理解を深めてもらう順番にしています。

目的は近いと考えています。当社の場合は、掲載内容を一つの記録として持ち、そこから一覧や参照用ファイルまでを自動生成する構成を選びました。この形にしたのは、内容の整合を機械が検査できる状態にしたかったためです。どちらが優れているかではなく、何を機械に検査させたいかで分かれると考えています。

当社では、後回しにしていた小さな修正が実際に出るようになりました。ただしこれは仕組みだけの効果ではなく、更新に使う時間を業務の中に置いたことと合わせての結果です。仕組みを整えるだけでは、更新の頻度は変わりませんでした。

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