Guide業務とテクノロジー2026.09.11
Updated 2026.09.11
内製・SaaS・外注の総費用を、どう比べるか
AIの利用料だけを数えると、内製は極端に安く見えます。公開料金と明示した仮定を使い、要件・移行・教育・修正・保守まで含む三年間の比較方法を示します。
まず結論
比較するのは開発費だけではなく、三年間など同じ期間の総費用です。利用料、構築、移行、社内工数、教育、改修、クラウド、退出費用を含めます。AI内製は無料化ではなく、費用の一部を外部委託から自社の判断・検証・保守へ移す選択です。公開価格と仮定の試算は分けて扱います。
請求書が小さくても、社内の時間は使っている
PBGの開発では、業務の意味を決める文書、取込や移行、検証、本番と現場受入の区別、公開・保守の手順が必要になっています。これらはAIの月額利用料とは別に発生する仕事です。非公開の実費を開示せずとも、費用項目として抜けないようにできます。
内製の見積で忘れやすいのは、すでに給与を払っている人の時間です。その時間を別の改善に使えた可能性もあります。ただし機会費用を金額化するときは、給与相当額と同じ損失を二重に足さないようにします。
総費用へ入れる項目
| 項目 | SaaS・ローコード | 外注・AI内製 |
|---|---|---|
| 初期 | 設定、要件整理、追加開発 | 設計、実装、検証、公開基盤 |
| 移行 | データ整形、権限、旧環境との並行 | 同左に加え独自移行の設計・復旧 |
| 継続 | 利用者課金、追加機能、運用 | クラウド、AI、保守、監視、改修 |
| 社内 | 管理、教育、受入、業務変更 | 設計判断、レビュー、障害対応も |
| 退出 | データ出力、契約終了、再移行 | 引継ぎ、依存更新、運用体制の継続 |
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公開料金で確認できる部分
| 例・確認日 2026-09-10 | 公開価格 | 20人・36か月の利用料だけ |
|---|---|---|
| AppSheet Core | 10 USD / user / month | 7,200 USD |
| kintone スタンダード | 1,800円 / user / month(税別) | 1,296,000円(税別) |
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AppSheet Coreは多くの有料Google Workspaceプランに含まれるため、対象契約・利用者・条件を確認し、二重計上しません。kintoneスタンダードは最低10ユーザーです。機能が同等という比較ではなく、為替・税・構築・追加サービス・保守を含まない利用料の計算例です。
外注の相場を、一つの数字にしない
同じ「顧客管理」でも、移行件数、権限、連携、監査、稼働要件で見積範囲は変わります。今回確認した一次情報から、これらを同条件で比較できる受託開発の市場平均は確定できませんでした。根拠の薄い相場を置く代わりに、同じ要件・受入・保守条件で見積を取る必要があります。
外注費に含まれる検証や保守を、内製の試算から落としてはいけません。反対に、SaaSで不要になる基盤保守を内製と同じ工数で足すのも不適切です。各案で実際に残る仕事を積み上げます。
AI内製の試算は、仮定を動かして見る
| 仮定のケース | 社内工数の計算 | 工数費用 |
|---|---|---|
| 初期600時間・保守月10時間 | (600 + 10 × 36) × 4,000円 | 3,840,000円 |
| 初期600時間・保守月20時間 | (600 + 20 × 36) × 4,000円 | 5,280,000円 |
| 初期600時間・保守月40時間 | (600 + 40 × 36) × 4,000円 | 8,160,000円 |
表は横にスクロールできます。
すべて説明用の仮定で、PBGの実績・市場単価・標準工数ではありません。AI利用料、クラウド、税、外部支援などは別途です。保守には修正・検証・公開を含む想定ですが、自社では内訳を定義してください。
AIで初期工数が半減しても、総費用は半減しない
AIで初期工数が半減しても、総費用は半減しない
仮に初期600時間だけを300時間へ減らせたとしても、月20時間の継続工数が変わらなければ、工数費用は528万円から408万円です。これは仮定上の計算であり、AIの削減効果を示す実測ではありません。長く使うほど継続費用の前提が重要になります。
PBGの経験から、見積へ残したい能力
取込処理の原本保持や例外解決、公開するrevisionと検証結果の対応、実際の業務での受入は、削れば安く見えます。しかし後から不整合を直す仕事へ移るだけの場合があります。品質や復旧を無償の前提にせず、どの案がどこまで持つかを比較します。
SaaSの標準機能で目的を満たすなら、利用料があることだけで不利としません。独自の業務変更が頻繁で、判断・検証・保守を自社で続けられるなら内製に価値があります。外注と内製を併用する場合も、仕様と受入の責任は明確にします。
比較表を作る順序
01
同じ範囲を固定する
利用者数、期間、機能、移行、連携、稼働・受入条件をそろえる。
02
残る仕事を積む
請求額と社内工数を分け、各案で不要になる仕事を外す。
03
変動する前提を振る
人数、為替、月々の改修、退職時の引継ぎなどを変えて計算する。
04
費用以外も決める
変更の自由度、依存、退出可能性、必要な社内能力を含めて選ぶ。
この記事について
選択肢を同じ軸で比較した記事です。
First-hand experience
ピース・ビズグループ(PBG)の知見を扱います。PBGの非公開費用は使用していません。内部の仕様・検証・移行・公開資料から必要な仕事を抽出し、公式の公開料金と明示した仮定の計算を分けています。社内工数の数値は実績ではありません。
参照した一次情報
- AppSheet PricingGoogle確認日 2026.09.10
- kintone 料金サイボウズ確認日 2026.09.10
- Well-Architected FrameworkGoogle Cloud確認日 2026.09.10
- Published
- 2026.09.11
- Updated
- 2026.09.11
- Published by
- Peace Biz
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